2016年11月1日

【今更ジロー】新宿Q&Aのレポート

実施からずいぶんお時間たってしまいましたが、シネマート新宿でのQ&Aの一問一答をお披露目いたします!

当日は東陽一監督、池松壮亮さん、佐津川愛美さんがご登壇して、twitterで応募のあった質問やご来場のお客様からの直接の質問にお答えい頂きました。お客様のおかげで内容の濃いQ&Aとなりました。あっという間の30分でした。(少しオーバーしました)

<twitterに寄せられた質問から>

Q.出演者の皆さんにとって衣装とは役を演じるにあたってどのような影響や力を与えているか教えてください。

[池松]  衣裳によって色々なことが変わります。今回衣裳のテーマカラーは黄色でキーポイントに使われていたのですが、もしそれが赤であるだけで色々違ったと思います。演じる側の気分も違ってきたでしょうし、映画のトーンに影響を及ぼしたでしょうし。観る方の感じ方も変わってしまったと思います。

Q.衣裳のアイデアは池松さん自身も出されたりするのでしょうか?

[池松]  いえ、いつも出されたものを着るだけです・・。

Q.佐津川さん演じる唯は、全編通してロリータファッションを貫いていたのに驚きました。

[佐津川]  唯にとってファッションはこだわりであり、自分が存在するためにすごく必要なものなんだなと思いました。その服のブランドの店員だからその服を着ているのではなく、自分が好きで選んで着てるんだなと、準備頂いた唯の衣裳を観た時感じたので、自分の意思がすごくある子なんだなと思って演じさせて頂きました。

Q.(なんと、原作者の井上荒野さんからの質問です)光太郎と一緒に飲みに行った部下2人の関係が知りたいです。マスクがどうとかっていうやりとりが妙に親密そうですが、あの2人はゲイの恋人同士なのでしょうか?

[東監督]  質問の意味が解らないんですが・・荒野さん難しいこと聞かないでください(笑) 2人の関係?そりゃ上司と部下ですよ。あの2人は営業部なわけです。お客さんと会う時にマスクしているのは失礼だってことを上司が部下に注意してるんです。荒野さんすいませんね・・。

[池松]  最近は表現としての“映画の中のリアリティ”と、“日常のリアリティ”の境が無くなってきて、“映画のリアリティ”が少なくなってきてると思いますが、東監督が表現される“映画のリアリティ”は、位牌だったり、ヘリコプターだったり、最後の毛布もそうですが、映画の世界ならではだなあと僕は面白く感じています。

<観客の方からの質問>

Q.小夜子が海斗の自宅を訪ねてきた時ですが、海斗がすぐに部屋に招きいれたのはなぜでしょうか。

[池松]  僕もよく理由はわかっていません。でも台本に書いてありましたし(笑) 最初演技した時は、日常のリアリティを考えてすごく間を取りました。招き入れる感情に折り合いをつけるために結構長い間を取ったんです。けれどその時監督にすごく面白いことを言われたんですよ。「観る人の間合いをどんどんつぶしていけ」と。それでドアを開けてすぐ「あ、どうぞ」くらいの間になりました。そうすることによって何が起こるのかというと、お客さんが意味がわからなくなるんです。だからこそ映画に引き込まれていく。つまりそれも東監督の映画表現なのですが、そういうことに俳優として対応していくことがすごく面白かったですね。

Q.最後の方の海斗が実家の母親と電話で話すシーンですが、池松さんの出身地である博多弁を使っていたのは何か理由はあるのでしょうか。

[東監督] どんな人間だってどこかで生まれたというルーツがあるので、最後に海斗のルーツを明らかにしておきたいと思ったんです。場所はどこでも良いのですが、方言はしゃべる以上、正確でないと困るわけです。池松さんが博多の出身だというので、だったらそれを喋ってもらおうということでお任せしました。どこで育ったのかということが何となく伝わるようにしたかったのです。

Q.今日2回目を観にきました。2回目のほうが色々伝わってきたのですが、自分のなかでまだ「木琴」と作品が結びついてきません。「木琴」は、なんの象徴だったのでしょうか。

[東監督]  これ以上わかりやすくできないくらい描いたつもりなんですが・・(笑) 要するに、最初の回想ででてきた木琴の音色は音楽になってないんです。音楽というのは人間が作り出したもので、どんな人間の内部にもあるものだと思っています。でも小夜子はそれを見つけられない。自分が何者なのかはっきりさせたいのにできないという焦りはどんな人間にもあると思います。そういう焦りで木琴をたたいでも全然音楽にはならない。最後のシーンでまた木琴の音色が聞こえてきますが、それはちゃんとした音楽になっていたと思います。その時の小夜子の表情に注目してみて下さい。

Q.ごくごく普通の主婦がストーカーになっていくストーリーですごくハラハラしたのですが、池松さんと佐津川さんは、将来こうなったら嫌だなあという夫婦像や、理想の夫婦像などはありますでしょうか。

[佐津川]  今回、初めて完成した作品を観たときに、夫婦といってもやっぱり他人なんだなということをすごく感じました。小さいころは単純にお嫁さんになりたいとだけ思っていましたが、そんなかわいらしいだけじゃないんだと、大人になるとだんだんわかってきて。家族を作り上げるというのは、すごく難しいんだなと思うようになりました。人が、この人と生きたいという確信を持ち、その意思を相手に伝え、そして一緒に生きていくという、その選択自体がものすごいことなんだなと思います。

[池松]  理想の夫婦像はプライベートなので秘密です(笑) 人と人が一緒に暮らしていくということは、僕はまだ経験ないですが、夫婦だろうがなんであろうがとても大変なことだと思います。でもそういうことに目を伏せるのもとても愚かなことだと思っています。

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